自転車通勤 霞ヶ関往復
帰りに甲州街道を走っていたら前に鬼こぎのママチャリ。
30kmくらいで巡航してる。
すげーな。
作業着、くそ重そうな安全靴の青年。
流しているとはいえ抜いてしまうわけだが、
信号待ちのたび追いついてくる。
そのたびに俺の前に出て止まる。
それでいて俺のほうはチラとも見ない。
青になった瞬間にがむしゃらに立ちこぎ。
いいなぁ、こういう青年。
井の頭通りへの右折レーンに並んでたら、また追いついてきて俺の横に並ぶ。
ママチャリで右折レーンに並ぶ奴ははじめて見たよ。
俺に抜かれるのがいやでたまらないんだろうな。
いいねぇ。
つい声をかけてしまった。
「速いね」
「いや、そっちの方が早いじゃないですか」
「それは自転車のちがいなだけだよ。そっちがこういう自転車に乗ったら
絶対に俺より速いよ」
「そうなんですか、そういう自転車はいくらくらいするんですか?」
このあと、価格など話して君は絶対に速くなるからこういう自転車を買うといいよ、
などと話していると信号は青になった。
いくら位するんですか、と聞かれたときにちらっとこの自転車やるよ。
そして俺がおまえのコーチになる。
一緒に優勝を目指さないか、などという妄想が脳内を駆け巡った。
青信号を二人でかけ抜け、しばらく下り。
青年が切れないように調整しながらくだって登り。
40km以上をキープしたまま登りきる。
完全にぶっちぎれた。
これで青年はロードを買おうという気に少しでもなっただろうか。